税務調査の争点「それって給与? それとも外注費?」
2014年12月11日
税務調査で、よく争点になるものに「それって給与? それとも外注費?」があります。
なぜ争点になるかと言いますと、事業者側が「外注費」と経理していたものを、税務署側に「給与」と認定されると2つの税金の負担が追加で発生する可能性があるからです。
その1つ目の税金は「消費税」です。
「外注費」はその支払に消費税が含まれていると認識し、課税仕入れとして、消費税の納税額の計算上控除ができます。もし、これが「給与」と認定されると、「給与」はその支払には消費税が含まれていないため課税仕入れにはならず、その消費税分、追加で消費税の納付が発生することになります。
そして2つ目の税金は「源泉所得税」です。
「外注費」は通常、支払う事業者側がその外注費に対する「源泉所得税」を天引きして支払う必要がありません。
(注:外注費などのうち、個人事業者や非居住者、外国法人への支払について源泉徴収が必要なものもあります)
一方、「給与」はみなさんも良くご存じのとおり、その支払の際に「源泉所得税」を天引きしなければなりませんので、「給与」と認定されたとたんに支払う事業者側に「源泉所得税」の納税義務が発生することになります。
これら2つの税額の影響があることから、争点となる「給与」か「外注費」か、ですが、給与=雇用契約、外注費=事業所得や請負契約ですので、判断基準として下記があげられています。
1.当該契約の内容が他人の代替を受け入れるか?
2.仕事の遂行にあたり個々の作業について指揮監督を受けるか?
3.まだ引き渡しを終わっていない完成品が不可抗力のため滅失した場合等において、
その者が権利として報酬の請求をなすことができるか?
4.材料が提供されているか?
5.作業用具が供与されているか?
上記以外にも、「会社に専属しているか」「勤務場所や勤務時間の拘束を受けているか」「請求書の作成の有無」「報酬について値引き、値上げ等の判断をおこなうことができるか」など、さまざまな判定要素を総合的に勘案し、その支払が「給与」なのか「外注費」なのかを判断することになります。
ところで、税金ではありませんが、給与となると社会保険料等の負担も発生してくることになります。
思わぬ負担増にならぬよう、実質上も形式上も整備しておきたいところですね。