あらためて社長の仕事とはなにかを考える
2014年12月15日
「会社」とは何か
では最初の要素である「会社」について考えてみましょう。
会社というと、株式会社がまず一番にあげられます。そのほかには持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)が会社法では認められています。ここでは最も多く一般的な株式会社を「会社」として話を進めていくことにします。株式会社の特徴は資金を提供する出資者がいて、その資金を用いて事業を営む経営者がいるという点です。
出資者は資金提供の見返りに経営者が事業を営んで稼いだ収益から分配を受けることを期待し、経営者はその期待に応えるべく努力するという関係が成り立っています。
もちろん中小企業の多くは出資者が同時に経営者であることが多く、両者が一体とみなされがちですが、概念的には別体です。
「会社」に必要な5つの要素
会社が出資者と経営者の関係で成り立つことは分かりました。ではそれだけで会社を十分説明できていると言えるでしょうか。まだ足りないような気がしますね。
出資者と経営者は会社の核といってよい要素であり、会社であるための必要条件ですが必要十分条件ではありません。
会社を会社として成り立たせているものにはどんな要素があるでしょう。
私はその要素を大きく次の5つだと考えています。
1つ目と2つ目は今お話しした「出資者」と「経営者」です。そして3つ目が「人」、4つ目が「組織」、5つ目が「資金」です。
会社は「人」即ち従業員の皆さんの集合体です。ただ集まっただけでは機能しませんので、会社の機能に応じた「組織」を持っています。そして「資金」を使って設備を導入し、原材料を仕入れ、賃金を支払い、製品を製造し販売する等々、事業を行っています。
まとめますと、「会社とは、出資者へ分配する収益を生み出すために、経営者が人を組織し資金を使って事業を営む場である」ということになります。
こう言うと、「会社は社会に有用な商品・サービスを社会に供給するためにあるのであって、収益を追い求めるだけのものではない。」「会社は賃金を従業員に支給し、彼らの生活を支える社会的役割もある。」等といった鋭いご指摘があると思います。
まさにそのご指摘の通りです。現代の会社には社会的な責任が求められています。経済が発展するにともない、会社にかかわる利害関係者が多くなり、様々な役割と責任が生じています。
そのことは会社を考えるうえで忘れてはいけない大切なことであり、この後でお話しする「経営」に関する2つ目の要素の「目的」の達成にも関わることですが、まずは会社とは出資者と経営者の関係が核となり、「人」と「組織」と「資金」を使って活動するものだと理解してください。
ここまで経営を考えるうえでの要素は3つ(会社、目的、管理運営)であること。さらに会社については5つの構成要素をご紹介しました。
次回は「目的」の達成についてお話ししたいと思います。