走行距離によって変わるレンタル料 どっちがお得?

2014年12月24日

【例題2】

イブシ君は、普段から仕事でレンタカーを使います。最初、旅行での走行距離を往復80kmと見込み、用意周到に前日の夜に全日本から車を借りました。ところが、出発の朝になって、タカギ社長は、今回の旅行に合わせてA市の営業先を開拓しようと言い出しました。実行した場合、移動の関係で往復走行距離は200kmまで伸びそうです。今からでも新日本の車に取り替えたほうが得でしょうか?

 

【考え方】

まずは、比較の対象から考えてみましょう。「取り替える場合」と「取り替えない場合」の比較になります。すなわち、そのまま全日本にするのか、新日本に取り換えるのか、この2つからの選択になります。どちらの場合でも、全日本に支払った固定料金2,000円は共通しているので、この意思決定から除きます。

よって、比較の対象は、新たに新日本と契約するのに必要な固定料金、走行料金の合計と、全日本の走行距離になります。それぞれの値については以下の式から求められます。

 

損得学Vol.4図④

 

グラフは以下のとおりになります。全日本と新日本の線の交点(300㎞)が優劣分岐点になります。この点より、走行距離が短い場合は全日本、長い場合は新日本になります。

 

損得学Vol.4図⑤

 

この例題での走行距離は200㎞ですので、取り替えずに全日本の車で社内旅行に出かけた方が有利です。

 

前回に引き続き、レンタカーの例題を使い、2案の優劣から選択する意思決定について解説しました。2社の中からどちらを選択するかは、固定料金と走行距離の合計から意思決定することになりますが、契約の時期によって、固定料金を比較の対象に含むか、含まないかというそれぞれの場合があることがわかっていただけたかと思います。

 

今回の例題で、共通部分として前日に支払った固定料金を比較の対象から除いてしまったことに疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。これは「埋没費用」と呼ばれるものです。この費用については、別の機会にじっくりと解説させていただきます。

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ 執筆者紹介

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ

資金調達や財務分析に長年取り組んできた経験を生かし、「経営で生じた会計・ファイナンスの疑問点をシンプルにわかりやすく解説すること」をモットーに、企業内診断士として活動しています。

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