地方自治体の『ファンド』事業とは

地方自治体の提供する助成金、補助金の一種として「ファンド」と名付けられたものがあります。
ここでいう「ファンド」とは、企業債などを指すのではなく、自治体がそれぞれ持っている基金を基に、その収益などを企業育成に用いるものです。
したがって、ほぼ毎年、長期的に継続して行われる事業であるとともに、一般企業側からみると普通の助成金・補助金と何ら代わりなく受け取れる種類の資金と考えればよいでしょう。
 
本欄で過去に紹介した「ファンド」という名のついている助成金・補助金だけでも、次のように多数あります。まだ紹介できていない都道府県のファンドも多数あります。
 
・徳島県 農商工連携ファンド
・岐阜県 地域活性化・農商工連携ファンド
・富山県 中小企業チャレンジファンド
・和歌山県 わかやま中小企業元気ファンド
・東京都 地域中小企業応援ファンド
・福井県 ふくいの逸品創造ファンド
・兵庫県 ひょうご農商工連携ファンド
・沖縄県 OKINAWA型産業応援ファンド
・香川県 かがわ農商工連携ファンド
・福島県 ふくしま産業応援ファンド
・愛知県 あいち中小企業応援ファンド
 
内容としては、各地域で振興したい産業や政策に主眼が置かれていることはもちろんで、農林水産業のブランド育成、ものづくり産業の研究開発、広く地域活性化に関するもの、などに分かれます。ファンドによっては、特定の産業分野(例えば医療など先端技術分野)に絞って募集されているものもあります。
 
現在、国レベルで行われている「ものづくり補助金」「ふるさと名物応援」「農商工連携」といった補助金と重なるテーマが多数あることも事実です。どちらかというと助成率や助成限度額が国の補助金より低めのため、考えようによっては国の施策の補完か、(語弊がありますが)“滑り止め”といった役割になることもあります。
 
それでも、国の施策に比べると、地域密着である分、ハンズオンの支援が得られる可能性もあり、一長一短であるともいえます。さらに、国の施策が少ない秋から年明けくらいの時期に2次応募、3次応募、時には次年度の応募などが実施される例が多く、事業開始のタイミングが合うと、うまく利用できるといえます。