2-1. 事業所得の記入方法

事業所得の記入前の準備

実際の記入例(入力例)を見ていきましょう。

 

事業所得の場合、確定申告書に記入を進める前に、まず事業に関わる収入支出・資産状況などをまとめた決算書(白色または青色)を用意する必要があります。以下の例は、青色申告決算書の記入例です。事例では、青色申告にすることによる特別控除(前ページ「青色申告特別控除フローチャート」参照)および青色事業専従者給与の適用を受けているとします。ここでは地代家賃と減価償却費の計算方法を説明します。

 

岡田栄二さんは、自宅の1室を使い、奥さんと二人で学習塾を経営しています。

奥さんの給料については、「青色事業専従者給与届出書」を提出しており、適正な金額として月8万円(年間96万円)を支払っています。

 

事業をしている人は、確定申告書に事業所得についての決算書を添付しなければいけません。
青色申告の決算書は、円簿青色申告で作成できます。
円簿青色申告についてはこちら
 

●青色申告の事業所得でe-Taxにて申告するので、650,000円の控除を受けている

●青色事業専従者給与の適用により奥さんの給料960,000円の控除ができる

●自宅は賃貸マンションで、全体で50㎡のうち20㎡の部屋を学習塾専用の部屋として使用。家賃は1カ月187,500円・・・地代家賃

●令和2年4月に車を購入。事業用に使っている割合は50%・・・減価償却費

●令和2年1月にパソコンを購入。事業用に使っている割合は80%、定率法で届け出・・・減価償却費

 

記入前に以上の条件に基づいて事業所得にかかわる地代家賃と減価償却費を計算します。

①地代家賃の計算をします。

本年中の賃借料 187,500円×12カ月=2,250,000円
必要経費算入額 2,250,000円×20㎡/50㎡(事業用割合)=900,000円

②減価償却費を定額法で計算します。

ア)車両 購入価格1,000,000円(取得年月 令和2年4月、耐用年数4年、定額法)
1,000,000円×0.25×9/12カ月=187,500円
187,500円×50%(事業用割合)=93,750円
※平成19年4月1日以後取得なので、改正後の減価償却計算をします。

イ)パソコン 購入価格500,000円(取得年月 令和2年1月、耐用年数4年、定率法)

500,000円×0.5×12/12カ月=250,000円

250,000円×80%(事業用割合)=200,000円

よって、減価償却費は、93,750円(車両)+200,000円(パソコン)=293,750円となります。

 

そのほかの経費については既に計算してあるものとして、決算書のそれぞれの項目に記入した例が以下のとおりです。

青色申告決算書