5-2 仕訳の決まり
仕訳は、取引を「借方」(左側)と「貸方」(右側)に分けて記帳しますが、借方になるか貸方になるのかは、仕訳のルールに基づいて決まってきます。
仕訳のルール
(1)仕訳の対象となる取引
仕訳の対象となる取引とは、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」を増加させたり、減少させたりする取引のことをいいます。この取引には、必ず原因と結果があることは前に述べたと思います。この取引の組合せを考えると次のような関係となります。
このように仕訳をした時に借方にくる取引が左側、貸方にくる取引が右側に記載されています。仕訳を行う時にその取引がどの取引になるか思い出して下さい。
(2)仕訳のルール
ここで、ちょっと思い出して欲しいのが、次の算式です。
資産合計 = 負債合計 + 純資産合計
収益合計 = 費用合計 + 利益合計
利益は、純資産の部の未処分利益ですから、この2 つの式を一緒にすると次のようになります。
資産合計 + 費用合計 = 負債合計 + 純資産合計 + 収益合計
(残高は必ず「借方」) (残高は必ず「貸方」)
この式のルールと上記取引の組合せから「仕訳のルール」として次のことを仕訳ごとに考えて下さい。
つまり、資産と費用の増加は、必ず「借方」になりますし、負債・純資産と収益の増加は、必ず「貸方」になります。
資産と費用の減少は、必ず「貸方」になりますし、負債・純資産と収益の減少は、必ず「借方」になります。
(3)仕訳例
ここで「仕訳のルール」に基づいて取引ごとの仕訳例をみてみましょう。
①資産の増加・資産の減少
普通預金から現金を引き出す場合には、現金という資産が増加し、普通預金という資産が減少します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)現金 ○○○ (貸方)普通預金 ○○○
②資産の増加・収益の増加
現金で商品を売り上げた場合には、現金という資産が増加し、売上という収益が増加します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)現金 ○○○ (貸方)売上 ○○○
③資産の増加・負債の増加
借入をして現金で受け取った場合には、現金という資産が増加し、借入金という負債が増加します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)現金 ○○○ (貸方)借入金 ○○○
④資産の増加・純資産の増加
株主から資本を払い込まれ現金で受け取った場合には、現金という資産が増加し、資本金という純資産が増加します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)現金 ○○○ (貸方)資本金 ○○○
⑤負債の増加・負債の減少
買掛金の支払のために手形を振り出した場合には、買掛金という負債が減少し、支払手形という負債が増加します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)買掛金 ○○○ (貸方)支払手形 ○○○
⑥費用の増加・資産の減少
給料を現金で支払った場合には、給料という費用が増加し、現金という資産が減少します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)給料 ○○○ (貸方)現金 ○○○
⑦費用の増加・負債の増加
商品を掛取引で仕入れた場合には、仕入という費用が増加し、買掛金という負債が増加します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)仕入 ○○○ (貸方)買掛金 ○○○
⑧負債の減少・資産の減少
買掛金の支払のために現金で支払った場合には、買掛金という負債が減少し、現金という資産が減少します。これを仕訳にすると次のようになります。
(借方)買掛金 ○○○ (貸方)現金 ○○○
仕訳をする場合に、これらのことを念頭において行って下さい。