7-2 税金と納税

会社の利益には、さまざまな税金が課税されます。その中でも主なものに「法人税」「事業税」「住民税」「消費税」があります。ここでは税金の内容をみてみましょう。

 

法人税

会社は、株主総会で承認され確定した決算に基づいて法人税の申告を行います。会社の利益と法人税の課税所得は、多少異なります。
法人税の課税所得(法人税法上の利益)

法人税の課税所得は、次のように計算されます。

益金の額—損金の額=法人税の課税所得

①益金の額

益金の額=会計上の収益+益金算入額—益金不算入額

②損金の額

損金の額=会計上の費用+損金算入額—損金不算入額

※このように、会計上の収益・費用に法人税法上の「 段の定め」としての「益金算入」「益金不算入」「損金算入」「損金不算入」項目を設けて課税所得を計算します。
法人税額は、この課税所得に法人税率を乗じて計算します。法人税の申告書は、決算日の翌日から2 ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。また、その申告と同時に法人税を納付しなければなりません。
ただし、公開会社など会計監査人監査を受けなければならない法人は、一般に株主総会の招集を決算日の翌日から3 ヶ月以内に行いますので、申告もそれにあわせて1 ヶ月延長してもらうことができます。
なお、平成24 年4 月1 日から平成26 年3 月31 日の間に開始された事業年度については、東日本大震災からの復興のための財源確保を目的とした「復興特別法人税」が合わせて課されています。

 

事業税

会社の利益には、法人税の他に事業税と住民税が課税されます。法人税は「国税」ですが、事業税と住民税は「地方税」です。
法人事業税の税額は、法人税の課税所得を基礎として事業税の所得金額を計算します。その所得金額に事業税率を乗じて事業税額を計算します。

 

住民税

文書名 _1-7-2住民税という言葉から個人に課税される税金のようですが、会社にも法人として住民税が課税されます。
この住民税には、「都道府県民税」と「市町村民税」の2 つがあります。そのどちらにも、均等割額と税割額の2 つがあります。

(1)均等割額

均等割額とは、会社の本店や支店等がその地方公共団体に存在することにより課税されるもので、資本金等の額と期末従業員の数によりその均等割額が決まります。
ここで、注意してほしいことがひとつあります。この均等割額は、会社が赤字でも必ず支払わなければならない税金です。これは、会社がそこに存在する以上必ず課税されるからです。なお、この住民税は本店・支店・寮等が数カ所ある場合、その数だけ加算されます。

(2)法人税割額

住民税の法人税割額は、法人税の法人税額を基礎として一定の税率を乗じて計算されます。

 

消費税

消費税は、最終的には消費者が負担する間接税です。商品やサービスを販売した事業者が買主から一時的に税金を預かり、事業者の決算時期に合わせてその預かり分を納税する仕組みになっています。申告・納税は、前期の納税額の
規模によって、年1 回、2 回、4 回、12 回(毎月)と定められています。
消費税は、生産から流通のそれぞれの段階で、商品やサービスが販売されるたびに価格に上乗せされてかかります。事業者にとって、売り上げにおいては買主に消費税分を上乗せして代金を受け取りますが、仕入れ(経費、資産の購入など含む)においては売主に消費税を上乗せして代金を支払います。最も基本的な考え方としては、納税の際には、買主から預かった消費税額(仮受消費税等)から売主に預けた消費税額(仮払消費税等)を差し引いた額が、その事業者が納税すべき消費税等の額です。

納付すべき消費税等の額=仮受消費税等-仮払消費税等

消費税には、国税としての「消費税」と、地方税である「地方消費税」の2種類があります(※ 1)。日常の実務では両者を分けて考える必要はほとんどありません。ただし正確に表現する場合は、両者を含めた時には単に「消費税」と呼ばず、「消費税等」と表記することが必要です。
(※ 1)2014 年4 月1 日に消費税率が改定され、現在の税率は、消費税が6.3%(改正前4.0%)、地方消費税が1.7%(改正前1.0%)の計8.0%(改正前5.0%)です。法律上、地方消費税の税率は直接明示されておらず、「消費税の25%」と規定さ
れています。