第1回 会社経営者が保険に入ることの意味
2022年10月04日
テレビを見ていると生命保険会社のCMが流れます。なかには自分と同じ立場の経営者が倒れたり、亡くなったりしたときに、生命保険の必要性を訴えるものもあります。
とはいえ今日も元気に事業に精を出すなかで、突然の病気や死亡を現実的に想像する機会も時間もなかなかないのではないでしょうか。
落ち着いて考えると会社経営者という立場から見て、保険はどのような意味を持つものなのでしょうか。
会社経営にある「上り坂・下り坂」あと1つは?
筆者のようにお客様のライフプランを作るファイナンシャルプランナー(FP)が好んで使う格言に、「人生は上り坂と下り坂ともう1つの『まさか』がある」というものがあります。
この人生という主語はそのまま会社経営に言い換えることができます。業績の上昇期も下降期もあれば、今回のコロナ禍のように前例の無い状況に見舞われることもあります。
2年前後にわたり外出自粛が要請され、それまでの営業スタイルの大幅な刷新が求められることを、コロナ以前に誰が予測できたでしょうか。社会全体ではなくても、個々の会社経営にとって「まさか」な出来事が起こる可能性はあります。
社長が突然の病気になったときに起こること
会社にとって、「まさか」の代表的な例は社長が突然の病気になることです。もちろん大切な社員が頑張ってくれますので、社長が病気になっても当日に会社経営が止まることはありません。
ただ、最高司令官の不在で少しずつ着実に影響が出るのは「運転資金の獲得」です。
トップセールスで獲得してきた売上や、社長の人脈からの紹介に依る売上は大きな打撃を受けます。会社経営者を「まさか」の時に守る保険は、この「売上」を担保するものと考えましょう。社長が倒れることで、取引先の金融機関からリスクと見なされる恐れもあるでしょう。売上による運転資金や借入金の返済原資の補填に加えて、病気の重い場合は後継者への引継ぎ費用が必要です。
法人の保険は運転資金のほか、「貯蓄性」の担保も大切な役割
では、仮に社長が病気になっても運転資金の担保にできる十分なキャッシュがあれば保険は不要なのでしょうか。
法人保険の持つもう1つの特徴が「貯蓄性」です。会社のお金を保険料として支払い、一定期間が経過すると、それまで支払ってきた保険に運用益が付加された保険金を会社は受け取ることができます。
どれくらいプラスになるかは保険契約時に保険会社から提示されます。
これら貯蓄性法人保険の最大の特徴は、「手をかけず会社の資産の殖やすことができる」ということです。もちろん保険で十分な運用益を上げるには一定期間継続した保険加入が必要です。途中解約の場合は投下元本を割るリスクもありますので注意しましょう。